黙ったわたしに『雪村空琉』なその人は、妖しく目を細めた。
「クラスメートの女子も。
家を出る時には母さんも。
オレのことを『空琉』って呼んだのに?
さつきは、何で違うって思うの?」
えっ……ええっと。
コレは自分が『雪村空琉』じないって認めているってこと……かな?
なんだか、怖い目つきに、たじたじと逃げようとしたら!
その先に、どんっ、と壁に手をつかれた。
「教えてくれない?
今後の参考のために」
今まで、にこにこ笑っていた顔、怖い。
テンション高かった声、低い。
周りには、たくさん生徒が見ているから『助けて』って言えば、それで済むはずなのに!
彼の迫力に押されて、わたし……なんとかささやいた。


