あっという間に終わった高校一年生の夏休み。


 四十日ぶりの学校で、最初『彼』とすれ違った時。


 わたし、その人が『誰か』なんて、一瞬判らなかった。



 さらさらの茶色の髪。


 耳に、ピアスのあと。


 今は、普通に学校指定の制服着ているけれど。


 メンズのファッション誌の服が超似合いそうなイケメンで、たくさんの女の子に囲まれて笑ってた。


 べっ……別にねぇ。


 わたし、男子に興味なかったけれど。


 それでもつい見ちゃうし、目が離せないって、なに?


 カリスマ性っていうの?


 そんなものに囚われて、つい、ウチの学校にこんなヒトいたっけ? って眺めてたら。


 わざわざ女の子達の輪から抜け出して、彼の方から、わたしに話しかけてきた。