走り出した瞬間から、翔ちゃんはトップスピード。
ビュンビュンと走る自転車に、わたしの手には自然と力がこもった。
見慣れない景色を、どんどん通り過ぎていく。
「翔ちゃん速いよーーー!!」
予想以上の疾走に、わたしはたまらず声を上げた。
振り落とされないように、必死で翔ちゃんにしがみついていると、
「莉穂のせいだろ!」
と、翔ちゃんが叫ぶ。
…その通りではあるんだけど。
「でもやっぱり落ちるーーー!!!!」
さらに強くしがみつくと、翔ちゃんは楽しそうに笑ってた。
笑い事じゃないよーーーーー!!!!
…………前言撤回。
翔ちゃんは、やっぱり意地悪です。

