* * *



4月。


学校の広いグラウンドの上を
ピンク色の花びらがひらひらと浮遊する。


春の訪れを知らせる合図だ。


春になると
決まって思い出したくないことを思い出す。


それは少年に
後悔だけを残すこととなった。





「危ない――!」





気づいたときはもう遅かった。


この日。


同い年で幼馴染で
大切な存在である一人の女の子に
少年は大きな怪我をさせてしまった。