戸を開けると、店内は意外と普通だった。

アンティーク風味の落ち着いていて可愛らしい内装は、男の僕には似合わない。

ソファや、テーブル、木でできた掛け時計に紅茶の匂い

少しお洒落な家のようで、『お店』という感じは強くはなかったがそこもまたポイントなんだろう。

家具屋か何かかと思っていたが、何を売っているのか聞ける店員が見当たらない。

気付いていなかった訳じゃないけれど、店内は驚くほど静かだ。

綺麗な内装と暖かい照明のある店内なのに、空気だけが突き刺すように冷たい。

住人が皆消えてしまった廃墟のような
不気味で寂しい感じさえした。

不思議とそこまで怖くはなかったが、冷や汗が流れた。