「あの写真の…ひょっとして 彼氏なの?…」
おそるおそる聞いてみた。
「なに、それ。あゝ、あの文化祭の写真のこと? 
やだあ。ひょっとして妬いてるの? ふふふ…だったら、嬉しいな」
「違うの? いかにもって感じだったしさ。それに、すごく」
「ストップ! 彼がね 私に好意を持ってくれてるのは、知ってるけど。
私には、もっとステキな彼氏がいるの!」
僕の言葉を遮るように、君は言った。

「だ、誰なの? そうだよね」
「もう。分かんないの? 鈍感ね」
「えっ、ええっ。それって、もしかして…」 突然 君の指が 僕の唇に触れてきた。

「ナ・イ・シ・ヨ!」
愛くるしく笑いながら、君は言った。
もう僕は 天にも昇る気持ちだった。

後日、あの二枚目が君のお兄さんだと知らされた。
なあんだ、という安堵の気持ちという気持ちとともに、君のお兄さんに嫉妬心を感じている僕に気付いた。
ほんと、馬鹿げてるよね。
でもね、君に対しては、正直な僕でいたいんだ。
だからね、そんな僕を、僕は愛おしく思えるようになった。