金魚の恋

日本で一番大きい湖に出かけることに。
ほゞ二時間の、ドライブ。
小さな車だけれども、いやいや、ちいさな車なればこそ。
ぴったりとくっつかねば、座れない…

どうしたことか、その友人S君、一言も喋りません。
teikoちゃんも、困り顔。
見かねた悪友が、よりにもよって、このbokuに座を盛り上げさせようとする。
今日一日は、運転手に徹するつもりだったこのbokuを、
後ろに鎮座するteikoちゃんの隣に座らせた。

S君の表情をうかがうと、何やらホッとした表情を見せている。
気疲れしてたみたいだ。

なんだ、なんだ、なんだあぁぁ!
どうして、電話がかかる?

━ あたしのこと、覚えてますかあ? 
  ちょっと、会いたいんだけど、時間とれます? 

時間はあり余ってるけど、どういうことだ?

━ いいけど。

OKしちゃったよ、boku。まっ、いいかあ。
なんか話があるみたいだし。会ってからの話だよな。


小さな石を投げたら、大きな波紋が広がった。
良いにつけ悪いにつけ、それを投げたのは、君。

男の子が、蛙に向かって石を投げた。
蛙は、言った。
“坊ちゃん!
あなたにとっては戯れ事でも
私にとっては、生死の問題です。”

偽りの優しさよりも 心から憎んで欲しい

そう言いつつも、心の底では慰めを待つ。


ぼくは一人で 砂浜を歩いていた。

太陽はもう沈み、
月の光りもうっすらとしていた。
冷たい風が、沖から吹いてくる。
もう帰らなければ・・
そう思いつつ、いつまでも歩き続けた。

砂浜の果てに、
何があるのか、わからない。
砂浜から、岩だらけに 変わった。
それでも歩いた、
その先に、
何があるか、わからなかったから。