へ?なにを?




顔を上げてまっすぐに彼を見つめる。



少しだけ瞳が濡れているのは、
きっとばれていない…はず。







「お前さ。」




低い声のまま声をかけられ、
少しだけビクッとする。





「入学式のとき、校内さ迷ってたやつだろ

 …あのマヌケな顔、忘れらんねぇよ」





そう言って彼はにやっと笑い、私を見てくる。





…私が、マヌケ?


いや、そうかもしれないけど…



あのとき君は、そんなことを思っていたの?







「あんなの、後々めんどくさそうだからやったに決まってんじゃん。

 つか、あの時のだけで優しいとか判断する時点で、やっぱりマヌケだな。」





なに、それ……



今まで受けたことのないほどのショックに、

すぐに倒れてしまいそうになる。




震える声を絞りだし、私は彼に聞く。







「じゃあ……

 あの、優しい結城くんは、全部嘘だったって言うの…?」