君は私の顔を見ようとしてくれない。 そんなの構わず、私は君に歩み寄る。 「匠くん」 君の目の前 目があって、君の瞳が私を捕らえたその瞬間 パチン 小気味いい音が、静かな教室に響いた。 君の頬を押さえたままの自分の掌が、少しだけじんじんする。 呆然としたままの君は、きっとなんで叩かれたのか、分かってないでしょ? 私はいすに座ったまま君と視線を合わせるように ゆっくりと、しゃがみこんで 「とりゃっ」 君の脇腹、触っちゃった。