並んで歩いていると、なんだかカップルみたいだな…なんて、女々しいことを考えているとき。
「ねぇ、匠くん」
あいつが、横から首を傾げて俺の方を見つめてきた。
っ、その角度は、反則だろ…!
思わず顔を反らしそうになったが、次の言葉で俺心臓が嫌な音をたてる。
「匠くんは、なんでみんなの前では猫をかぶっているの?」
……過去の記憶がフラッシュバックする。
小さく頭に走る痛みは、もう何度目のことだろう。
…それは
それは俺が、人と深く関わるのを恐れているから。
…俺は、幸せになんてなっちゃいけないんだ。
あのときから、ずっと。

