近くにいればいるほど、思いは積み重なってしまうから。
正直、少し距離をあけて歩いていた今が俺にとってはちょうどいいくらいだった。
それなのに、お前は俺の心なんて全く分かってくれない。
「……そんな匠くんなんか、嫌いだよ!!」
…違うんだ。
俺だって、お前が嫌だからこんな風に当たっているんじゃなくて。
…お願いだから、そんなことを言わないでくれよ。
気づけば俺はあいつを引き寄せていて。
俺が抱き締めているかたちになった。
あいつの瞳からこぼれ落ちた涙は、紛れもなく俺のせい。
やめろよ。
…俺はお前の笑顔が好きなんだ。
……お前の泣いてる顔を見るのは、苦しくなるから。

