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入学して少したったある日。
購買から戻って、友達と廊下で話していた俺だったけど…
「(あれ、あいつ、この前の…)」
ふと視線を動かしたとき、あの時の女…花崎悠の姿が目に入った。
友達と仲良く話している姿を見て、なんだか不思議と心が落ち着いた。
……実をいうと、入学式のあとにも何度かあいつは見かけたことがあった。
それは多分、俺があいつを気にして、目でおっているから何じゃないかな、なんて。
ガラにもないけど、そうだと思う。
あまり長く見つめているのも不自然だと思い、俺はなにごとも無かったように友達と会話を続けた。

