そいつは、俺の顔を見たとたんに顔を赤くする。
中学の頃、俺は女子接すると必ずといっていいほど頬を染められていた。
みんな、俺の顔をみて好きって言ってきた。
だから、こいつを見たときも
この学校も、いつもと同じか……
なんて、思わずため息をつきそうになったとき。
「イケメン君、はやくっ」
目の前のやつはすでに元気そうで、俺の腕を引いてどこかへいこうとしていた。
…イケメン君って、俺のことか?
そう思ったのもつかの間。
俺は連れられるがまま、進む。
ちらりとそいつを見てみると、どうやら同じ学年のやつらしい。
って、体育館はそっち側じゃねぇけど
ため息をつくのも、呆れて笑うのも、
本性を隠すためにしなかったけど。
こいつ、面白いかも。
女子に興味を抱くのは久しぶりのことで、なんだか不思議な感覚だった。
――入学式の日のこと。

