そこで私はやっと、
自分にあてられた多くの視線に気づいた。
「な、なんでこんな…」
若干涙目になりながら隼人くんの方を見つめると、困ったように苦笑されてしまう。
み、見捨てないでー!!
「なんなの、アイツ」
…それは、私にギリギリ聞こえる程度の大きさで呟かれた、1つの声。
なんなの…って、どういう意味?
そもそも、なぜこんなにも多くの人からの視線を浴びているのかすら
私は察していないというのに。
「匠くんとたくさんはなして、どういうつもり?」
!!
私は、匠くんという単語に反応する。
それって…だって……
「匠くんを一人占めするのは、
だめ…みたいな?」
隣から隼人くんの声が聞こえた。
そっちを向いてみると、隼人くんは相変わらず苦笑気味。

