聞くと、匠くんは私の手元を指差した。






「…弁当。
 作って来てくれたんじゃねーの?」


「あ……」





わざわざ、教室までとりにきてくれたんだ。




そう思って、思わず顔がにやける。




「はいっ」


「さんきゅ」


「あ、待って!!」





お弁当を渡した瞬間に去ろうとする匠くんを、慌てて引き留める。




すると、振り向いた匠くんは


急いでんだからはやくしろよ


とでも言いたそうな顔をしてこちらを睨んできた。





ひぇ!!

ちょ、ちょっと怖いよ…





「あ、あの!!

 昨日帰れなくてごめんね…」





私は慌てて用件を言うけど、

気持ち的にはやっぱり後ろめたくて。


最後の方の声はすっごく小さくなってしまった。