コーヒーを、ゆっくりと、味わいながら飲む。
これから訪れる、彼女との幸せな日々のことを考えると、嬉しくて、楽しみで、たまらない…。
コーヒーは少し甘く、ほろ苦く、僕好みでとても美味しかった。
…彼女はいつ起きるだろう。
スタンガンとはいっても、人を気絶させられるほどの威力しかないのだけれど。
二人がけのソファに座り、コーヒーを啜りながら彼女のことを考える。
…彼女の名前は、葉月 沙奈。
これから僕は、彼女のことをその名前の通り、"沙奈"と呼ぼう。
…沙奈。
…さな。
僕の沙奈。
僕だけのものになった、沙奈。
…コーヒーを飲み終わり、ごろりとソファに横になった僕は、幸せのあまり愉楽の息をついた。
…今までずっと、僕は哀しかったんだ。
沙奈こそは、僕を、僕の愛を、優しく受け止めてくれる…きっと。
…安心したら少し眠気が差してきて、僕はゆるゆると目をつぶった。
多分、朝から慣れないことをしたから、疲れたんだろう。
…もし、万が一沙奈が逃げようとしても、この部屋を通らないと外には出られない。
少しくらいなら、眠っても大丈夫だろう。
ナイフも常備しているから、万に一つ、警察がやってきても大丈夫だ。
僕が目覚めた時には、沙奈はきっと起きているだろうから。
目を覚ました時の喜びを想像しながら、僕は緩やかに意識を飛ばした。



