「…ふぅ」
外に出た僕は鍵を閉めて、達成感にも似た思いに打ちひしがれていた。
…やっと僕の沙奈を、柔らかな沙奈の身体を、この腕の中に、抱きしめることができた。
僕にとってこれ以上嬉しいことはない…。
…あぁ、本当に僕は、沙奈を愛してる。
沙奈の声沙奈の唇沙奈の手足沙奈の心沙奈の言葉沙奈の性格…全部、好きだ。
昼食は何にしようか。
全て僕の手作りで、僕の手で、直に、沙奈に食べさせてあげよう。
きっと美味しいはずだよ。
…ホットケーキでいいか。
僕は意気揚々とキッチンに向かい、棚からホットケーキミックスを取り出すと、ダマがないように牛乳、卵と混ぜた。
この家にはなんでも揃っているから。
次に、フライパンを熱し、少し冷やして、その上から混ぜたホットケーキミックスを流し込む。
耳に気持ちのいい音がこだまし、僕の聴覚を刺激した。
これを沙奈に食べさせたら、笑顔で頬張ってくれるのかな。
美味しければいい。
沙奈が、無理なく食べられるように。
これから毎日、料理は僕が作るんだから、腕を磨かなければいけないな。
…さて、皿に移して、少し冷めたら沙奈に持っていこう。
メープルシロップを塗り、バターをたっぷりと溶かして、喉に詰まらせないよう小さく切った。



