「…心配しなくても、食事も渡すし、お風呂にだって入らせてあげるよ。僕の沙奈のためなんだから」
「…っ」
心の内では、今にでも沙奈に覆いかぶさり、存分に彼女の味を、味わいたいと思っている。
彼女が淫らに揺れる瞬間を、しっかりとこの目に焼き付けていたい。
けれど僕は、誰よりも大切な人…沙奈に、そんなことはできない。
本当に、愛しているから。
沙奈は諦めたように強張っていた身体から力を抜くと、一度…深く頷いた。
その頷きがどういう意味なのかは、僕にはわからないけれど、きっと、僕の花嫁になることを、受け入れてくれたのだろう。
…セーラー服もいいけど、ドレスだって似合いそうだ。
白いワンピースなんかも、確か、この間、沙奈のために買ったはず。
今日は初めて僕と出会って疲れただろうから、休ませてあげよう。
そうだな…目隠しを外すのは、彼女がこの生活に慣れてからでいい。
手錠は…沙奈も僕を愛してくれるようになったら、外してあげよう。
沙奈にまで逃げられたら、嫌われたら…僕は、これから先、沙奈なしでは生きていられない…。
「…今日は、ゆっくりと休みなよ」
唇を震わせる沙奈から離れ、扉に向かう。
部屋の外に出る刹那、ふと沙奈の口元を盗み見ると、彼女の唇は声を出さず『大嫌い』という言葉を形作っていた――。



