思わず本音を口にした。
安豊寺は無視。
おい、この嫌われ方は、さすがに不本意だぞ。
やや坂になった住宅地を巡る道の下のほうから、ヘッドライトが現れた。
五台、か。
突っ込んでこられたら厄介だが。
「おまえら、下がってろ」
言いながら、師央と安豊寺を追いやる。
どこかの邸宅を囲う塀に背中を預ける形だ。
あっという間に、五台のバイクに囲まれた。
五台とも全部、真っ赤に塗りたくられたハーレー。
ボディに緋炎のロゴがスプレーされている。
いかつい体格の男が五人、ハーレーを降りた。
メットを脱いだやつが一人いる。
顔を知ってる。幹部だ。



