逢魔が時、っていう時間帯だ。
日が沈んで、でも、ぼんやり明るい。
「煥さん」
振り返った師央に呼ばれた。
安豊寺は前を向いたままだ。オレの顔なんか見たくない、ってとこか。
「何だ?」
「煥さんと文徳さん、どっちがモテますか? 今日、教室でそんな話になってて」
下らねぇ。
「見てわかれ。兄貴に決まってるだろ」
「見てても、わかりませんでした。煥さんのクールなとこがいいって人も多いし」
「遠巻きに見物するのと、モテるのと、全然違うだろうが。兄貴は普通にモテるんだよ。誰とでも平等に接するし、モテるくせに彼女一筋だし」
安豊寺が勢いよく振り返った。
「か、彼女っ!?」



