結局、安豊寺と師央が並んで歩いている。
その後ろを、オレが歩いている。
歩くの遅いな、こいつら。安豊寺が小柄なせいか。
襄陽学園は町の真ん中あたりにある。
学園より港寄りは繁華街。
反対側は、そこそこ裕福な住宅地。特に、港からいちばん遠い山手のエリアは高級だ。
安豊寺の家は山手エリアにある。
徒歩通学の圏内だ。
昨日、成り行きで家の前まで送った。
庭の広い大きな家だった。
記憶の中にあるオレの実家に似ていた。門衛の雰囲気とか、芝生の庭の感じとか。
寧々は安豊寺を“お嬢”と呼ぶ。
中学時代のあだ名らしい。
確かに安豊寺はお嬢さま育ちだ。



