師央が顔を歪めた。


必死な表情だった。



「この白獣珠が証拠になりませんか? これは、未来の白獣珠です。ぼくが未来から持ってきたんです。だから今、この時代に二つある。本来、世界に一つしかないはずの白獣珠が今、現にこうして二つあるんです」



偽物じゃないのか? と、まず疑うものだろう。ほかの品物なら。


でも、白獣珠は別だ。


疑う必要なんて、ない。



感じるから。本物だという息吹、鼓動。


二つの気配が、完全に調和している。


同じ白獣珠が、ともにここにある。


その存在感は、間違いなく絶大で。



しかも、さっきから白獣珠の様子がおかしい。


ひどく熱い。


こいつに何かの意志があるのは今までも感じてたが、言葉を聞いたのは初めてだ――因果の天秤に、均衡を。