ああ、そういえば、赤服の族名、緋炎だった。
緋炎のリーダー格がわめき散らす。確か、緋色の狂犬だったか?
「瑪都流の生徒会長さまは姑息だよな! つねに罠を仕掛けてやがる! しかも、自分の弟を餌にするか!?」
そのツッコミは、オレも入れたい。
今回、オレは何も知らされてなかったぞ。
バイクのマフラー音が近付いてくる。
姿が見えた。川沿いを、下流のほうから走ってくる。
土煙が凄まじい。さいわい、こっちが風上だ。
ふと、別の方角から、一台近付いてくる音。
オレは土手の上を仰いだ。
バイクが止まった。ひょいとバイクから降りる男に、兄貴が片手を挙げる。
「援軍か?」
「そういうことだ」



