気が付いたら、体が動いていた。 鈴蘭と師央を抱きしめていた。 ――オレの大切な―― 家族で、宝物。 痛みが流れ込んでくる。 撃たれた腹が、焼け付くように痛い。 ろくに呼吸も保てないほど痛い。 脳が痛みを拒絶する。 意識がブラックアウトしそうだ。 歯を食いしばる。痛みに耐える。 だって、耐えてくれたんだ。鈴蘭も師央も、オレを癒すために。 痛くて、苦しかったはずだ。 こんな役目を二人に押し付けるなんて、オレは悪魔だな。 「ごめんな、鈴蘭、師央。痛い思いを、させてる」