二つの玄獣珠が粉々になった。
その小さな二点から、爆発的なチカラが起こる。
吹き散らす光と風を、肌で感じた。
見慣れたほうの海牙が、オレを振り返った。
顔いっぱいで微笑んでいる。
「やってやりましたよ。数値がなくなった視界って、ずいぶんシンプルですね。後は……」
海牙の視線に導かれて、オレは、鈴蘭と師央と未来のオレたちに向き直った。
赤ん坊は、いつの間にか泣き止んでいる。
師央はもう障壁を消している。
鈴蘭の全身から、青い光が噴き出している。
「鈴蘭! 師央!」
オレは駆け寄った。
一瞬、ギョッとする。
銀髪の男が仰向けに寝かされて、目を閉じていた。
血に汚れた服の胸の上に赤ん坊がいて、キョトンとオレを見上げている。



