オレのかかとが、正木の軸足をとらえる。 あっさりと正木が重心を手放して、オレの胸倉をつかんだ。 ニヤリ、と歪んだ笑み。 もんどりうって転ぶ。 体勢を入れ替えられる。 地面に背中を着けたのは、オレだ。 正木がオレに馬乗りになる。 「つかまえたぞ、伊呂波煥」 正木が手のひらをオレにかざす。黒々とした銃弾が凝り固まっていく。 「つかまえたは、こっちのセリフだ」 右の手のひらが熱い。白い光が凝縮する。光の障壁が生じる。 正木が目を見開いた。オレの意図に気付いている。でも、遅い。