オレは左の手のひらに、右の拳を叩きつけた。 パシン、と小気味いい音が鳴る。 「決まりだな。理仁の案でいこう。一か八かだ。でも、可能性がある。やってやろうぜ」 師央が泣き笑いの顔をした。 「皆さん、ありがとうございます!」 オレは師央の栗色の髪をくしゃくしゃにした。 「全員の命が懸かってるんだ。おまえだけじゃない。全員を救うんだ」 でも、オレがいちばん守りたい命は、おまえだ。 師央。 おまえの命を守るために、おまえの幸せを救うために、オレは、みんなで生きたいと思う。