「師央くんは文徳くんに引き取られて、襲撃者から隠れながら暮らす。でも、三度、見付かった。
一度目は、師央くんが物心つく前。そのとき、文徳くんの親友が死んだ。同時に、朱獣珠が奪われた」
理仁が唇を噛んだ。
兄貴の親友ってのは、理仁だ。
「二度目は、師央くんが十歳のとき。この襲撃は、師央くんも記憶している。銃を乱射されて、文徳くんの仲間たちが死んだ」
仲間たちってのは、瑪都流だ。
牛富さんや雄が、争いに巻き込まれて死ぬんだ。
「そのとき聞いた言葉がある。襲撃者のリーダーが、文徳くんに言った。古巣からはとっくに離れた、と」



