海牙が静かに言った。
「師央くん、話してくれませんか? いつ、どうして煥くんたちが死ぬのか。なぜきみが時間をさかのぼろうと決心したのか。ぼくがみんなに伝えますから」
師央は力なくうなずいた。
唇が動き始める。声はない。
海牙は師央の口元を、じっと見ている。
オレは壁にもたれて目を閉じた。
しんとしていた。自分の呼吸の音が、ひどく大きく聞こえた。
遠くから、人のざわめきが聞こえる。瑪都流の面々が声をあげているんだろう。
長い時間はかからなかった。
師央の弱々しい声が、話の終わりを告げた。
「……これで全部です」



