「おい、兄貴。族のほうは兄貴に任せる。オレは師央たちと話したい」 兄貴が真剣な目をした。 外灯に照らされて、赤みがかった茶色の目がきらめく。 兄貴が、オレの肩をポンと叩いた。 「白獣珠のことだよな。行って来い。おれは預かり手じゃないから力になれなくて、すまん。おれ自身の運命もかかってるってのに」 兄貴は、師央が十五歳のときに死ぬ。師央を過去に送って運命を変えさせるために。 そんなふうに、両親の墓の前で師央が告げた。 「変えてやるよ、運命。もちろん、兄貴のぶんもな」