《ここはおれに任せとけ》
その響きは、柔らかかった。
それから改めて、理仁は号令《command》を発動した。
《全員、戦うな! 武器を捨てろ! 表に出るぞ! おれについて来い!》
師央が、ほぅっと息をついた。
「能力者とそうでない人を分けたんですね。これで緋炎の動きは抑えられる」
理仁が歩き出す。
出入口をふさぐ緋炎の集団が、さっと左右に割れた。
一人、二人と、理仁について歩き出す。
寧々が困惑の声をあげた。
「何これ? 体が勝手に……って、ヤバいじゃん! 戦わなきゃなのに、ちょっとぉっ!」
師央が寧々の肩を、そっと押した。
「大丈夫です。今は理仁さんの号令に従ってください。ここは危険だから、外に出て」



