静まり返っていた店内に、誰かのか細い悲鳴。
それが引き金となって、悲鳴が連鎖する。
マズい。パニックになる。
《そんな顔すんなって、あっきー。おれの出番だよね~》
頭の中に直接響く声に、ハッとして理仁を見る。
理仁の両目に朱い光がともっていた。
ニッと笑った唇が、動いた。
《全員、聞け!》
理仁の全身から気迫が噴き出した。思わず身構えるほどの、暴風みたいな気迫。
店内が、水を打ったように静まり返る。
《おれに注目しろ!》
理仁がステージへと歩いていく。
店内のすべての視線が理仁に吸い寄せられている。
理仁は兄貴の肩をポンと叩いた。



