兄貴が、すっと動き出した。
ステージへと降りていく。
緋色の狂犬も、世良も、兄貴を見ている。
追いかけそうな亜美さんを、牛富さんが押さえた。
オレも飛び出そうとして、阻まれた。理仁と海牙だ。
「あっきーのバトルは、そっちじゃない。世良ってやつ、ちゃんと見てなきゃ」
「文徳くんは撃たれませんよ。文徳くんのことは、緋炎に任せてあるはずです」
緋色の狂犬が兄貴に向けて吠える。口汚く兄貴を罵りながらの宣戦布告。
対する兄貴は静かな顔をして、冷たい怒りをたたえている。
「一般人を解放しろ。決着なら、その後でキッチリつけてやる」
緋炎が一斉に嘲笑った。
「正義漢気取りとか、あり得ねぇよな、おい!」



