薄暗い中でも、兄貴が青ざめるのが見える気がした。 「あいつら、正気かよ? 一般人も巻き込むつもりか? そんなことしたら、自分らだってヤバいはずだ。自滅する気か?」 そして、また。 パンッ! 銃声、暗闇、悲鳴。 海牙が鋭くささやいた。 「見えた! ステージに向かって右の隅にいます」 海牙が示したほうへ視線を走らせる。 いる。ただ一人、冷静にたたずむ黒服の男。 右手が銃を持っているのかどうか、ここからじゃ見えない。顔もよくわからない。 オレは舌打ちした。 「三度目の襲撃ってわけか」