店内がだんだんと騒がしくなる。
混乱と恐怖が広がり始める。
この空気、マズい。
パンッ!
三度目。
悲鳴があがる。聴衆の大半が席を立つ。
出入口へと意識が集まる。
そのとき、外側から出入口が蹴り開けられた。
赤い特攻服の集団がそこにいる。緋炎だ。
逃げ出そうとした聴衆たちが立ちすくむ。
特攻服の先頭に立つ男が吠えた。
「袋のネズミってやつだな、瑪都流! 総力戦だ。この店ごと、ぐるっと囲ってるぜ。取り巻きも全部まとめて始末してやるよ!」
緋色の狂犬、と呼ばれる男だ。
暴走族、緋炎の総長。ギラギラと殺気立つ長身で、棘を生やした鉄バットを引っ提げている。



