鈴蘭が黙る。どう返せばいい?
「イヤとか嫌いとか、あんたにさんざん言われた。オレのこと、怖がって嫌ってんだろ」
「そ、そんなの、うわべだけじゃないですか! 怖い人のふりして、嫌われても平気って顔して、ほんとは傷付いてるくせに」
「別に」
「ずるいです。寂しそうな素顔、見せられたら、カ、カッコいいうえに、そんな寂しい顔、守りたいって、思った。煥先輩は、ずるい、です」
胸が苦しくて、くすぐったい。
しゅわしゅわと炭酸みたな感触で、胸のカバーが溶けていく。
頭の中心が熱っぽく痺れて、顔がほてって、息が震える。



