拍手、歓声、喝采。 ライヴ終わりの空気が苦手だ。 顔を上げられない。 端に引っ込もうとして、兄貴につかまる。真ん中に連れ出される。 「煥も、何か一言、しゃべれ」 「イヤだ」 「どうして?」 「不安だ」 「何が?」 その拍手の温度が、その歓声の真偽が、その喝采の本性が、確かにオレを認めてくれているのか。 「オレは、銀髪の悪魔だから。どんな顔してればいいか、わからない」 同じようなセリフを聞いたよな、と思い出してみたら、鈴蘭だった。 怒ったような顔をしていた。照れていただけだった。