海牙の案内で、バイクを駐車場に置いた。

黒服の守衛にメットを預ける。


普通だ、と感じた。

意識を研ぎ澄ませてみても、違和感はない。

危険を感じない。

それでも、オレは海牙に念を押した。


「信用していいんだな?」

「守衛さんのことだったら、どうぞ信用して。

父君の形見に傷が付かないよう、見張ってくれますよ」

「阿里海牙という人間のことは?

信用できるのか?」

「んー、まあ、そのへんは……。

個人の見解ってものがあるでしょうね」


理仁がやんわりと間に入ってきた。


「まずは話を聞かないとね~。

でしょ、海ちゃん?」


海牙は笑って、先に立って歩き出した。


「こっちへ、ついて来てください」