理仁が、ポンと手を叩いた。
「ま、何にせよ、放課後は忙しくなるね。海牙ってやつの誘いには乗るんでしょ?」
オレはうなずく。師央が理仁に応える。
「あの人はいろいろ知ってるみたいでした。ぼくは、あの人の知ってることを、知りたい」
「預かり手が集まっちゃった理由とか? 因果の天秤や運命ってやつの正体とか?」
オレは胸を押さえた。首から提げた白獣珠が、そこにある。
直径二センチくらいの小さな存在がオレにチカラを与えて、オレの行く末を翻弄する。
自分が何のためにここにいてチカラを持っているのか、ときどき真剣に考えてしまう。
理仁が、ふと声をひそめた。
「なあ、師央。一つ、どうしても知りたい」
「何ですか?」
「師央って、パパとママがいくつのときの子ども? やっぱ、でき婚?」
鈴蘭が、今度は上履きを、理仁に投げつけた。



