鈴蘭は、叫んだ後、口を押さえて固まった。
視界の隅でそんな様子を察しながら、オレはそっちを向けない。
頭痛がする、ふりをする。
手のひらで額を覆って下を向く。
頭痛はしてない。ほてる顔を上げられないだけ。
師央がおずおずと理仁に訊いた。
「今の話、文徳さんから聞いたんですか?」
「うん、師央の伯父さんから聞いた」
「理仁さんは、信じたんですか? ぼくが未来からきたって話を?」
「信じちゃうほうがよくない? おもしろいし。だって、今の状況、あれだよ? 親子団欒、プラス、おれ。おもしろいじゃん?」
メニュー