何気なく目を上げると、鈴蘭と視線がぶつかった。
慌てた様子で下を向いた鈴蘭が、せかせかと手を動かす。
オレのほうを見てた?
視線の意味はわからない。でも、見られていた。その事実は、微妙に気まずい。
師央とじゃれてた理仁が、ちゃっかり口出ししてきた。
「なになに~? 二人は目と目で会話する仲なの?」
「ち、違いますっ」
「見惚れてた?」
「何言ってるんですか、長江先輩!?」
「ふぅん、おれのことは苗字なのね。で、あっきーのことは名前なのね」
「だって、文徳先輩と混ざるじゃないですか! 変な言い方しないでください!」



