《ちなみに》
理仁の声が変わった。
有無を言わせず聞かせる声だ。
ピシリと張り詰めた響きだった。
「何だ?」
《今日はチカラを使ってないぜ。使わなくても、このとおりでね》
「どうでもいい」
マジな話かと思って聞いたのに。
損した気分になる。
「ちょっと~、あっきー冷たい」
「オレはいつもこのとおりだ」
「シャイなチェリーくんのくせに~。おや、表情変わったけど、図星~?」
「ふざけんな」
「いやいや、いいと思うよ。イケメンでシャイでピュアで不良で最強。それこそ最強コンボじゃん」
疲れる。
オレはすでにうんざりしているのに、理仁はおかまいなしのマイペースだ。



