「そんなに驚かないでください、煥くん。きみだって、能力者じゃないですか。それに、後ろの彼もね。一応、調べましたよ。謎の少年、伊呂波師央くん。現れたのは、半月前。以来、襄陽学園に潜り込んでいる」
海牙が、すっと近付いてくる。
ゆっくり歩いているように見える。でも、近付き方が速すぎる。
考えるより先に体が動いた。
みんなに接触させたくない。
海牙は強すぎる。
こいつが危険な存在なら、オレが止めるしかない。
拳が、かすかに鳴った。
海牙の手が、繰り出したオレの拳を受け流した。
鮮やかなくらい完璧に、勢いを殺がれた。
「やるじゃねぇか」
「お手柔らかに」



