断崖絶壁の突端にある伊呂波家の墓は、いつ来ても、潮風が吹き荒れている。
三代前の墓なんて、もうボロボロだ。
すぐ真下には白い灯台があって、規則正しい光を夜の海に投げかけている。
墓参りといっても、オレも兄貴も、何をすればいいか知らない。
線香を上げようにも花を活けようにも、風が強すぎる。
ただ墓石の文字を見つめながら、胸の中で挨拶する。
今月も、生きてここへ来られたよ。
来月も同じ日に、またここへ来る。
兄貴と二人、親父のバイクで。両親を慕ってくれてた仲間たちと一緒に。
まるで儀式みたいなこれが、オレたち瑪都流《バァトル》の習慣だ。



