途中から、マフラー音が増える。
亜美さんが、牛富さんが、雄が、それぞれのマシンを繰って加わる。
信号のない道を選んで大通りへ出る。
警察が匙を投げた荒れたエリアを突っ切って、一群の狼のように疾駆する。
港の埋立地へと出る。
埠頭をよぎる。
下手な連中が追いすがってきて、勝手に後れを取って消えていく。
街灯のない海沿いの県道を走る。
曲がりくねって登る道。ガードレールの向こうは断崖。落ちれば、白波立つ海。
オレたちの両親は車ごと海に落ちた。
“事故死”だと言われた。
そうじゃなかったとしても、理由がわからない。



