ドクリ、とオレの心臓が騒ぎ出した。
似てる。
切れ長の目。通った鼻筋。額や顎の形。
兄貴に似てる。それだけじゃない。
兄貴よりももっと、オレ自身に似てる。
不意に、オレの胸でペンダントが熱を持った。
ドクドクと、高鳴る鼓動に似たリズムで打ちながら告げる――因果の天秤に、均衡を。
そいつが、まばたきをした。
声を発しようとして、咳をした。
それがひどく人間くさくて、オレは光の障壁を消しながら腕を下ろした。
そいつが再び口を開いた。
オレを見つめて、言った。
「あなたが、伊呂波《いろは》、煥《あきら》?」



