「な、何なんだ?」
栗色の髪に、驚かされた。
兄貴と同じ色だ。
というか、オレの家系の髪の色だ。オレを除く、血縁全員の。
裂けて汚れた服には、すすや血が付着している。
火薬の匂いを感じた。
まるで、たった今まで戦場にでもいたみたいだ。
でも、なぜ、いきなり?
目の錯覚? じゃないよな。
ここにいる全員が見た。
見て、驚いて、固まっている。
そいつは、うつむいていた。
胸元に何かを握りしめている。
沈黙。
そいつが動いた。
はぁ、と大きな息をついた。
そして、顔を上げた。
オレと、そいつの、目が合った。



