「わたしの手を握ってください。他人にさわるのが嫌いなのは知ってます。でも、実験に協力してもらえるんでしょう?」
「わかってる」
オレは鈴蘭の左手を握った。
その小ささは予想ができていた。
でも、柔らかさと軽さに驚く。指先が少し冷えている。
鈴蘭が、つないだ左手に、右手をかざした。
右の手のひらから青い光が染み出した。
チクリと、左手の人差し指の先に、かすかな痛みが走った。
意識を集中すると、わかる。チクチクと、ささやかな傷口の自己主張。
青い光が消えた。
同時に痛みも消えた。
鈴蘭の左手がオレの手の中で、もがいた。
オレはその手を解放した。



