カッターシャツを脱いで、鈴蘭に押し付けた。
鈴蘭は無言で受け取って、黙ったまま、ボタンを付け始める。
横目に見下ろすと、鈴蘭の手付きはぎこちない。
慣れてないらしい。
針で指を突きそうで、ハラハラする。
ハラハラ? 心配? そんな小さなケガを?
下らない、と胸の中で吐き捨てたとき。
「痛っ」
鈴蘭が、か細い声をあげた。
左手の人差し指の先を見つめている。
ぷつり、と血のしずくが膨れ上がった。
「慣れないことをするからだ」
「ボタンは付け終わりました。後は、糸を切るだけです」
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