「バァトルは、古い言葉で“勇者”という意味だ。本物の勇気を持つ者に贈られる称号。勇者であれば、敵も味方も関係ない。その者をバァトルと称える」 兄貴がオレを見た。 「さっき、亜美たちと話し合った。セットリストを変更しよう。今の煥に歌える唄にする」 「は? 今の、オレ?」 「勇者シリーズ二曲で行こう。煥が詞を書いた、最初の二曲だ。歌えるだろ?」 おれが中一のころ。 唐突だった。兄貴がオレを軽音部の部室に連行した。 「今日からバンドを組む。煥が歌え。詞も、おまえが書いてみろ」